
今日、新国立劇場でヴェルディのリゴレットを聴いてきました。リゴレットはイタリアオペラの中で一番のお気に入りで、2年前の英国ロイヤルオペラの来日公演以来2年ぶり、そして今日で7回目の経験となります。ワーグナーのワルキューレと並んで、今まで一番数多く聞いたオペラかもしれません。リゴレットは愛と呪いの復讐劇。ヴェルディの典型的な悲劇オペラです。数々の美しい旋律で彩られたアリアが挿入され、重唱も多く、心理描写が音楽で表現されてオペラ全体が盛り上げられていきます。どのアリアの旋律も決して脳裏から離れることがありません。道化師リゴレット、純真な娘のジルダ、そしてマントヴァ公爵を中心に展開する、愛と復讐そして呪いの壮絶なドラマ。いつもこのオペラを見ると、美しいアリアの旋律が頭の中をぐるぐる駆け巡り、3幕幕切れの
Gilda! mia Gilda!… è morta! ジルダ、ジルダ、お前は!
Ah, la maledizione! ああ呪いだ!
衝撃の幕切れには、涙を誘われるのです。


今回の公演のプログラムと配役表です。2幕と3幕の間には休憩が無く続けて演奏されます。2年前のロイヤルオペラ公演でも同じでした。
【指 揮】ダニエレ・カッレガーリ
【演 出】エミリオ・サージ
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
【リゴレット】ウラディーミル・ストヤノフ
【ジルダ】中村恵理
【マントヴァ公爵】ローレンス・ブラウンリー
【スパラフチーレ】斉木健詞
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】友清 崇
演出はスペインのエミリオ・サージ。2023年に新制作上演された舞台。伝統的な衣装でオーソドックスな演出でした。シンプルな照明が効果的に使われたやや暗めの舞台、重苦しいドラマを引き立てた東京交響楽団の緻密で美しいハーモニー、それに応えた色彩豊かな歌唱、舞台全体が指揮者のダニエレ・カッレガーリさんを中心にワンチームとしてまとまっていた印象です。声の競演で紡ぐ愛との呪いの復讐劇のイメージが強いリゴレットですが、カッレガーリさんの音楽はオーケストラと歌声が融合していて、とても新鮮でした。特に弱音のコントロールが素晴らしいように感じました。座席は前方11列目の向かってやや右側のベストポジション。場面転換の様子が全て見えてしまいました(笑)。しかし暗めの照明のため、歌手の表情はおぼろげにしか確認できませんでした。
今回のプロダクションは、迫力ある歌声を競い合うイタリアオペラに酔うというよりは、アンサンブルを重視した音楽劇が魅力のように感じました。今では一般的に演じられるアリアの最後に1オクターブ高い高音で締めくくるパフォーマンスは全てカット。原典に従った演奏だったようです。ただし、3幕最後に身代わりになったジルダが刺された後に舞台裏からマントヴァ公爵が歌う女心の歌の最後はHが聞こえてきました。
リゴレット、ジルダ、マントヴァ公爵の主役は、全幕を通して安定した歌唱で、この音楽劇をきっちり支えていました。特に、2幕、3幕の最後で演じられるリゴレットとジルダの二重唱の素晴らしさに心動かされました。
リゴレットを演じたウラディーミル・ストヤノフさんは初めて聴きました。世界最高のバリトンの一人らしく、声の力と表現力、迫力の演技共にこれぞ主役という活躍に圧倒されました。輝かしく艶のある声が魅力で、痺れまくりました。
ジルダを演じた中村恵理さん。同じく初めてです。実は今回のリゴレットの目的は一度生で聞いてみたいと思っていた中村恵理さんでした。期待通りの熱演で、特に意識的に抑制された弱音の美しさと響きで純情なジルダを演じていました。天使のような歌声に鳥肌立ちましたね。とても強い声を持っている方なので、こんな歌い方もできるのかと驚きました。これから世界に羽ばたいていってほしいですね。
マントヴァ公爵を演じたローレンス・ブラウンリーさんは、実は以前(2006年)にセビリアの理髪師のアルマヴィーヴァ伯爵で聞いたことがあります。今ではベルカント・オペラの国際的スターと評されているそうです。ヴェルディでも端正な歌唱で、美声と高音の魅力を堪能しました。
スパラフチーレの斉木健詞さん、マッダレーナの清水華澄さんは3幕を引き締めていましたね。日本人キャストでもここまで自然体な演技ができるのには驚きました。

華やかなエントランス

休憩中の様子
14時に開演、30分の休憩を1回はさみ、16時40分に幕が降りました。いつもとちょっと異なる感動的なリゴレットに満足でした。



































































